| オーストラリアのダンスは優れた作家が多いですが、これまであまり日本に紹介されてきませんでした。粉川哲夫(文明批評家・東京ゲーテ記念館館長)が80年代に現代オーストラリア文化を日本に紹介したように、サブカルチャーを育む土壌は豊かで、70年代以来演劇では優れたグループが活躍しています。アジア・環太平洋をカヴァ─するWorld
Dance Allianceアジア・環太平洋の中でもオーストラリアは大きな役割を担っています。日本でのこの国のダンスに対するさらなる認知は重要です。
リー・ウォーレン & ダンサーズはそんなオーストラリアを代表するカンパニーの1つです。「Divining」ではピアニストがスクリャービンの曲を奏で、踊り手達が感情豊かに踊ります。ダンサーが空間性のある構成とダイナミックで伸びやかなムーブメントを踊ります。「Swerve」では対照的に素朴なオーストラリアの日常生活を感じさせます。踊り手達はリズムを刻みながら、ポップダンスやダンサー同志のジャムを感じさせる動きを繰り広げます。車のホイルやバケツを叩く姿は素朴で踊り手の日常生活から生まれたような空気を感じさせます。
日本のコンテンポラリー・ダンスは日本の現在を多様に描きました。浅野つかさパーフェクトモダン「Lotus〜花の咲く時季〜」はオリエンタルで幻想的な情景です。蓮の花を手に持った踊り手たちは作家のイマジネーションを描きました。中でも塙琴のしなやかな動きは一際映えました。川野眞子「月に歌うクジラ」は、宮沢賢治の文学世界からクジラの歌う世界へ、とまるで現代文学の様な世界の作品です。作家のアイデアを反映した日本の最先端の技術も見逃せません。森山開次の「OKINA」は伝統と現代の相互から日本の肉体を普遍的に描き出しました。能の踊り手の静寂さと対比的に宙を動く森山の肉体の対比は緊張感が漲ります。内田香Roussewalz「冷めないうちにめしあがれ」では現代日本を生きる女性達のエスプリが光りました。いずれもテクニシャンの踊り手達は成熟した女の世界を描く事で、観客を穏やかに挑発します。渕沢寛子と所夏海の洗練された世界は情景を引き立てました。
オーストラリアで研究を重ねた岩渕功一(文化研究、“Recentering
Globalization: Popular culture and Japanese Transnationalism”他)が指摘をする様に、アジアの発展の中で自らを西欧の一部と思いがちな日本の位地は大きく変化しつつあります。日本のダンスをアジア・環太平洋へ紹介する時、その切口を模索する大切さ感じた公演でした。
芸術性 ★★★★★
娯楽性 ★★★★★
斬新さ ★★★★
癒し度 ★★★★
(Updated on 1/12/05) |