| 今日はクリスマスイブ。東京でもクリスマスイブは子
供達にとって楽しい一夜です。そんなイブの東京では 「胡桃割り人形」が上演されました。日本でもこの時期
はこの作品が多くのバレエ団によって様々に上演されま す。今回新国立劇場バレエ団ではワイノーネン版でマリ
インスキー劇場での初演時のオリジナルに近い内容が上 演されました。ワイノーネン版は日本では多く上演され
ますが、このバレエ団によるものでは群を抜いて高い演 技力と見事な舞台装置による作品を楽しむ事ができます。
第一幕では大人達と子供達が共にクリスマスの夕べを 過ごしています。実際の子供達による可愛らしい表情と
大人達の演技がクリスマスの楽しさを高めます。マーシャ (真忠久美子)がクリスマスに胡桃割り人形をプレゼン
トされます。主人公が人形を抱いて眠ると有名な物語が はじまります。真忠は日本のベテランのバレエダンサー
の中でもトップクラスの大変美しい踊り手です。対する 王子役は相性のあった山本隆之です。山本が見事にパートナーをサポートする事で、二人の息のあった演技は完
成度が高いものとなり、華やかで完成度の高い舞台とな りました。そんな二人がお菓子の国に旅立つシーンでは、
舞台いっぱいには青いコール・ド・バレエが広がり、大 変幻想的な情景です。中でもソリストの厚木三杏の演技
は巧みで目が離せません。
第三幕では舞台いっぱいに披露されたもてなしの踊り では水準が高い演技を堪能できます。中でもテクニック
ある踊り手が多いこのバレエ団ならではのオリエンタル な中国の踊り、衣装の見事なダイナミックなトレパック
が印象的でした。やがてマーシャと王子は二人で踊りま す。お菓子の国の人達が別れを告げると、マーシャは夢
から目覚めました。
バレエ・スペクタクルの幻想的な物語が心に染み入る ような、そんな心暖まる舞台でした。初演時に近い形で
今回上演されたこの作品は帝政ロシア末期に生まれまし た。革命への道筋を走る帝政ロシアという時代背景の中
で創られたとは思えないピュアで心を打つファンタジー です。現代日本もまた911以後の世界の中で大きく混
迷をしています。そんな観客たちが心を打つファンタジー を通じて、日々の日常から大きく解き放たれる様な舞台
でした。
芸術性 ★★★★★
娯楽性 ★★★★★
斬新さ ★★★
癒し度 ★★★★
(Updated on 04/04/05)
|